「みらいの水と公共サービス」(2/18:東京)に参加して
2018.02.23
フェイスブックやツイッターでもご紹介した表記のセミナーに参加して感じたことなどをまとめます。
このセミナーは
主催が全水道会館 水情報センター(WATER PLAZA)
共催、協賛、後援、アクアスフィア・水政策研究所・横水
登壇者は:沖大幹(東京大学教授)、アン・ル・ストラ(前パリ市副市長)、森山浩行(衆議院議員)、岸本聡子(トランスナショナル研究所)の各氏。
まず、国連大学上級副学長の肩書もある沖教授から持続可能な開発目標(SDGs)について、その紹介と展望が語られ、次に水道民営化から再公営化したパリ市の実態をアン女史から、休憩をはさんでトークセッションが始まり、そこに水循環基本法の完成に全力を挙げている森山議員、進行がアムステルダムに本拠を置くトランスナショナル研究所の岸本さんという多彩な顔ぶれでした。
水道はライフラインの中でもいのちに直結するものであるという認識は多くの人に共通のものだと思いますが、それを民営化しようという動きが数年前から表に出てきています。大阪市でも去年3月議会で廃案となったものの「水道民営化」への動きが完全に終止符を打ったわけではありません。「民間でできるものは民間で」という風潮は、いまや当たり前のように語られますが、本当にそれでいいのでしょうか。
多くの国で水道が民営化され、水質の悪化、不採算性の高いメンテナンス費用の削減、水道料金の高騰などから「再公営化」が進んでいる現状は多くの旧来メディアでは表に出ることが少なく、私自身、NPO法人のAMネットさんのイベントに参加するまで認識不足でした。
このパンフレットはインパクトも強く、中でも水道民営化は「実は時代遅れ」の手法という指摘が的を射た表現だったと感じます。そうした基本はあったものの、実際に市長選で民営化水道の再公営化を選挙公約に掲げ、その片腕として活躍された前副市長アン女史のお話には「普通にものごとを考える」ことの大事さが詰まっていたと思います。
アン・ル・ストラ女史が最初に語られた言葉です。「水と食物の根本的な違いは、水には選択肢がないということであり、必要不可欠な消費材である」というもの。どうでしょう、当たり前のこと、普通に考えれば分かることだと思います。当日TBSラジオも取材に入っていたらしく、荻上チキさんのラジオ番組「セッション22」でも全体のまとめともいえる放送がありました。(ネットリンクはこちら)
ネットで聞けますので是非お聞きください。
一昨年の3月、大阪を知り・考える市民の会主催で私も座付き司会者として参加した水問題の学習会「大事な水道についてもっと考えてみよう」でお世話になった水ジャーナリストの橋本淳司さんがゲスト出演、アン女史の話の内容(同時通訳音声あり)、最後にはトランスナショナル研究所の岸本さんまで登場という非常によくまとめられた放送でした。
今後出てくるPFIを取り込む改正法案などへの基礎的な入口も。放送を聞いて時間を短く感じました。
*PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。」(内閣府ホームページから)