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「刑事弁護人」を読んで

2019.07.17

講談社現代新書から出ている「刑事弁護人」亀石倫子、新田匡央を一気に読んだ感想を書きます。

亀石さんはご存知のように、今選挙戦真っ最中の参議院大阪選挙区候補。私も連日応援のSNSを書いていますが、そんなこととは別に、この本について書かせてもらいます。

「権力の暴走を許してはならない」と裏表紙にあるように、警察権力を放置しておくと勝手に犯罪とは関係ない車両にまでGPS発信器がつけられてしまう。それも警察側の判断だけで…。この国が憲法で保証している国民の権利を損なう動きにつながる恐れがある。新聞報道などで最高裁判決を読んだ時に感じた感想です。

この裁判経緯を現実の資料をもとに構成された本書を読んで、刑事弁護にあたる弁護士の苦労のほどを知らされました。大きな権力の前では、ややもするとひるんでしまいそうな「壁」に敢然と立ち向かい、ご存知のように最高裁で「令状なきGPS捜査は違法」という判断を勝ち取った弁護団のドキュメント。

窃盗団グループの主犯格の弁護を引き受け、接見時に「警察が僕たちの車にGPSをつけていたんですよ」というひと言と「警察ってそんなことまでやっていいんですか」という言葉から本件の糸口がほどかれ始める。

亀石さんを徹底的に取材したライターの新田匡央さんが彼女の同意を得ながら構成、校了されたものだと思うが、犯罪を犯した事実を認め、刑に服することは厭わないが、警察の捜査活動を法的に認めていいのかどうかをはっきりさせてほしいという主犯格の固い意思があったからこその最高裁判決。

一見、ひよわそうな彼女だが、どこに本書にでてくる粘り強さがあるのだろうかとか、個人の人権をどう守るのかという視点、普通に暮らす人たちの利益とは何か、などが浮き彫りになり、どんどん引き込まれてしまった。最高裁の大法廷に臨む弁護団の内面の動きや「大法廷」そのものが持つ強烈な圧迫感も読む側に伝わってくる。おすすめの一冊です。

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